筆文字は

いろいろな方から筆文字は原さんが書いているのですか？というご質問をよく受けます。
「自分で書いています」
自分の文字がその商品イメージに合わず、他の方に依頼する場合を除くと、ほぼ自分で書いています。いくつか書き、気に入ったものをセレクトするというのが基本ですがそれだけで完成することはほとんどなく、あとからカスレだけを作って合成したり部分部分に変形をかけたりと、ひたすら地味な作業を延々繰り返しています。つまり書く+作る。
書く文字やその日の調子（？）にもよりますが、結果として相当な時間を費やしていると思います。

ところで私の机の上には筆が出しっ放しになっています。
しょっちゅう書くから、筆文字を書くのが大好きだから、ではあるのですが、実は時間がかかる筆という選択を止めないようにするため。
どのみち楽には稼げないよ、とアナログな筆に監視されております・・・
「今回、筆文字はありえるな」と感じれば、まずいくつかのイメージで書きながら同時にデザインを考えてゆきます。音楽のイントロのようなものでしょうか。
ただし、書いてもすぐスキャンはしません。パソコンに取り込めば、せっかくだからという気持ちが高まり、発想の幅が逆に狭まるだけです。

でもやはり筆文字は楽しいものです。素朴感、伝統感、表情が豊かで情緒や声も伝わります。また保守的といわれようとも変えてはならないイメージという場合もあることでしょう。筆文字を使うだけで高品質になるわけではありませんし、ダサくなるものでもありません。
要は使い方。
和だから筆文字で、といったご依頼が多いことも確かですが、私としては和洋というジャンル分けではなく、広く「日本のデザイン」としていろいろなご案件での筆をチャレンジしてゆきたいと考えています。

自由で楽しい筆の動きを取り入れてみませんか。